概要
ヒュドラ(Hydra、またはヒドラ)はギリシャ神話に登場するヘビのモンスターである。テュポーンとエキドナとの間に生まれた12体の子供のうちの一つで、ケルベロスやキメラとは兄弟の関係にある。
形態
9つの頭を持つ巨大なヘビの姿をしている。
特徴
- ヒュドラの毒は非常に強力で、人間の体内に入ると即死してしまうほどである。また、ヒュドラが吐く息を吸っただけでも死んでしまうともされる。ヘラクレスはヒュドラを退治した後にこの毒を使って功績を立てたり、事件を起こしたりした。
- 再生能力が非常に高く、首を切り落としてもすぐにそこから2つの頭が生えてくるため、ヒュドラとの戦いでは首を切れば切るほど不利になってしまう。さらに9つの頭のうち、真ん中の一つは不死身だとされる。
- ヘラクレスとヒュドラの戦いではカルキノスがヒュドラに加勢したが、ヘラクレスは難なくカルキノスを踏みつぶしてしまったので、ヒュドラには何の助けにもならなかった。
エピソード
ギリシャ神話の英雄・ヘラクレスは自ら犯した罪を償うため、神から言い渡された10の苦行に取り組んでいた。その苦行の2番目が人里を荒らしていたヒュドラを退治することであった。
いとこのイオラオスと共にヒュドラの巣にやってきたヘラクレスは、さっそく火をつけた矢を放ってヒュドラをあぶりだし、棍棒で頭を叩き潰した。ところが叩き潰した頭から新しい頭が生えてきて、頭を倒せば倒すほど不利になってしまうことに気が付いた。
そこでイオラオスに助けを求めると、イオラオスはヒュドラの傷口を焼いてしまうという作戦を提案した。さっそくヘラクレスが斬った傷口をイオラオスがたいまつで焼き付けると、そこから新しい首が生えてくることはなく作戦は成功した。残るは真ん中の不死身の首だけだったが、その首も斬り落として大きな石の下敷きにして倒した。
こうしてヒュドラ退治を成功させたヘラクレスだったが、一人で成し遂げなかったため苦行の一つにカウントされることはなかった。だが、ここで手に入れたヒュドラの毒はその後の苦行でも大いに役立つのであった。
類似したモンスター
たくさんの頭を持つヘビのモンスターとしては八岐大蛇(ヤマタノオロチ)がいる。
参考文献
- 健部伸明と怪兵隊「幻想世界の住人たちⅠ」(1988) p.111-113